理事長室から 理事長室から

Vol.6

―2040年を展望する「学園将来ビジョン」を―

「策定本部」を設置 具体作業に着手

<6月に「2022年度ミッション」を明示>


新潟青陵学園では先月の拡大学内理事会で、2040年前後を展望した「新潟青陵学園 将来ビジョン・グランドデザイン」を策定する方針を決定しました。この方針は、私が理事長として6月に教職員に伝達した「2022年度新潟青陵学園ミッション」に沿ったもので、ミッションの目標に定めた「2022年度中に青陵学園を持続可能にするための土台をつくる」を具体化するものです。

将来ビジョン策定の理由は(言うまでもありませんが)急速に進行している少子化に対応し、「学園を持続可能にしていく方策」を探ることです。2040年代を生き抜く学園の将来像を描き、その実現に向けて学園全体が総力を挙げていくための作業です。ビジョン策定に当たり、拡大学内理事会メンバーの大半が入った「新潟青陵学園将来ビジョン策定本部」を設置。本部がビジョン策定の司令塔となると共に、策定するビジョンを遂行する責任を担っていきます。ビジョン作成の具体作業は、昨年度、「青陵学園ブランドづくり」の大役を担った「青陵ブランド戦略プロジェクトチーム(PT)」のメンバーから成る「将来ビジョン策定PT」も同時に結成しました。ブランドづくりとは比較にならぬほど重い作業になるので、全員に「辞令書」を交付。学園全体でバックアップする姿勢を明確にしました。PTは有識者らから意見を聞きながら、今年度中に「将来ビジョン・それを実現する長期戦略」を策定するための作業に既に入っています。


<加速する少子化の流れ>


「半年でビジョンや、それを実現する長期計画ができるのか?」との疑問の声もないわけではありません。しかし、長期にわたる少子化にコロナ禍の影響が加わり、子どもの数は怖いほどに減っています。今年上半期の日本の出生数は38万4千人と初めて40万人台を割り込みました。地元の新潟県・新潟市の子どもの減少は、さらに危機的状況です。新潟県では今年の14歳(中3)人口が1万8千4百人程度にまで落ち込んでいましたが、ゼロ歳人口はそこからさらに3分の2ほどになる1万2千5百人余にまで減少します。新潟市は県と比べ減少幅がやや緩やかになるものの、今年の14歳(中3)人口6千5百人余に対し、ゼロ歳児は5千人余。やはり4分の3ほどに減っていきます。ビジョン作成に長い期間を費やすことはできません。


<大変に厳しい2040年前後の予測>


専門家の見方はさらに厳しいものがあります。大学・短大では2020年以降の「コロナ・ショックによる出生減の影響」を2039年から受けることになりますが、「すべての大学・短大で志願者が均等的に減るのではなく、旧国立系や有力私学がまず一定の入学者を確保し、中小公立・私学は、残った、極めて限定的となる志望者を奪い合うことになる。7割ほどの大学・短大が何らかの形で淘汰されるだろう」と、ある教育コンサルタントは予測しています。


AIやロボットで仕事も様変わり>


変化はそれだけではありません。少子化の大波に、「AIやロボットが雇用の場に参入し、今ある仕事は10年で大きく様変わり」という、さらなる大波が加わります。巷には「10年後になくなる職業・なくならない職業」などの情報が溢れています。これをチェックすると、わが学園の得意分野である「保育士・幼稚園教諭」「看護師・介護士」などの仕事は、「残っているだろう代表例」に挙げられています。しかし、その分、当該分野への他学園からの参入が激しくなるのは昨今の状況が示している通りです。


<2040年を見据え、建学の精神を再定義>


大変に厳しい状況ですが、幸い本学園では、昨年までに「青陵ブランド」を考える作業を終えています。この土台の上に「将来ビジョン」を築いていきます。7月には職員の大幅な人事異動も行いました。これは将来ビジョンづくり・ビジョンの遂行―という大改革を睨んで、それを可能にする組織の土台強化と組織活性化を狙ったものです。

加速化する少子化の中で、どうすれば我が青陵学園を10年後、20年後、持続可能にしていけるのか―それは、自らが目指す「2040年代の学園像」を明確に描いていくことから始まります。本学の原点である「女子に実学を教授」との建学の精神を現代に問い直し、再定義することを出発点として、明日の時代要請に応え、地域・社会からも支持される学園像を描いていくことこそが、学園を持続可能にする道につながると考えています。   


<カギは「全員参加」の態勢づくり>


有識者らからの多様な見方・意見を取り入れて、将来ビジョンPTを中心に議論・考えを深めていきますが、「学園の未来を切り拓く将来ビジョンを策定し、遂行していけるのか」のカギは、学園の教職員すべてが「ビジョン策定を我がことと捉え、積極的に参画・発言するか」にかかっていると考えます。「全員野球」「全員参加」で青陵学園の未来を切り拓いていきますので、青陵学園関係者の皆さんからしっかりと見守り、檄を飛ばしてほしいと思います。これからも、よろしくお願いします。

2022年10月11日
新潟青陵学園理事長(将来ビジョン策定本部長) 篠田 昭