理事長室から 理事長室から

Vol.4

―お二人のいない学園運営をどうする 年度末の「評議員会」での挨拶から―

<お二人のいない学園運営をどうする 年度末の「評議員会」での挨拶から>私が新潟青陵学園の理事長に就任させてもらってから初めての年度末、24日には本年度補正予算(2次)や2022年度当初予算・事業計画などをご審議いただく「評議員会」「理事会」が開かれた。関昭一・前学園理事長と諫山正・前常務理事のいない年度末に当たって、私から少し長めの挨拶をさせてもらった。学園経営・運営についてお二人に頼ることができなくなった学園をどうするか―ここで最低限のことをお話ししておかねばならない、との気持ちからだった。今後の青陵学園を考える契機の一つとなるよう、評議員会の挨拶要旨について「理事長室から」で紹介する。

昨年までの踏襲はできない 学園総体で考え、実践するしかない

<理事長に就任して感じたこと>
新理事長として初めての年度末、お時間をいただきまして、いま感じていることを申し上げます。

私は今年の1月、本学園の理事長に就任させていただきました。実際に学園業務に関わってからは実質2か月半ほどでありますが、これまであらゆる場面で実感するのは、関昭一・前理事長と諫山正・前常務理事の存在の大きさであります。まさにお二人なくして今日の青陵学園はなかったと思います。改めてお二人のこれまでのご功績・ご努力に感謝申し上げます。後ほど事務局から話があるかと思いますが、新型コロナがやや収まっているこの時期を捉えて、お二人とのお別れ会を計画しております。

<偉大なお二人の後をどうする>
その偉大なお二人が今はいらっしゃらないのですから、学園の今後の運営については皆さま方のお力を従前以上に賜る必要があると思っております。また、お二人の存在感があまりにも大きかったため、ともすればお二人に依存してしまうことが学園としてあったかと思います。その意味で学園組織のあり方にやや心配な点があるとも認識しています。例えば、学園の将来のあり方や課題などについて、組織として考え、学園総体で行動していく習慣がないままに来てしまっているのではないでしょうか。これはお二人のせいということではありませんし、お二人と一緒に仕事をされてこられた方や組織を批判したりするものでもありません。長い経験と卓越した能力・リーダーシップのある指導者の下では、将来を考える大きな議論や活発な問題提起は生まれにくいものですし、実際に必要もなかったかもしれません。世の中や組織とはそういうものだと思います。

繰り返しになりますが、今、お二人はいらっしゃいません。ですから、青陵学園は昨年までのやり方を今後踏襲はできませんし、マイナーチェンジで済ませようとすることもできません。今後は青陵学園が組織として現在の課題を摘出、あるいは直視し、その改善・克服に全員で取り組み、学園総体で新たな可能性を切り拓く―そんな体制をわれわれ自らの手で早期に構築しなければならない。そのような思いが胸中に膨れ上がっていく2か月半でもありました。

<幹部職員らからの聞き取り>
「学園を新しいやり方で動かしていく必要がある」―こう感じているのは私だけではありませんでした。2月に入って始めた幹部職員らの聞き取りで、ほとんどの方が同じような見方を私に語ってくれました。特に40代半ば以下の方の不安は大きいようです。「この学園は10年後どうなっているのだろうか?」とか、「私が退職する20年後に学園はあるのだろうか、と考える時がある」とか、率直にお話ししてくれた方が大半でした。そんな不安を抱えている一方で、これまでは「経営や将来のことは、私たちが考えることではない」と自らに言い聞かせていたようにも思います。

<将来構想づくりが急務> 
率直に申し上げます。我が青陵学園には10年後、20年後を展望する将来構想・計画がありません。いや、もっと言えば将来構想などをみんなで練り上げる態勢そのものがなかった、と言った方が良いかもしれません。では、次年度からはどうするか―でありますが、今日ご審議いただく「学校法人新潟青陵学園 中期目標・計画(2020年度~2024年度)の一部改正に関する件」のところで、「厳しい経営環境の中で今後学園が継続的な発展を目指すための将来構想を2022年度中に新たに策定することになった」と書かせていただきました。来年度には、何としても中期目標・計画の基ともなる将来構想・計画を練り上げ、それを学園全体として共有する体制をつくらなければなりません。

<高校の改善・改革は待ったなし>
また、それに先駆けて、定員を大幅に割り込み、かつ校舎の老朽化の著しい高校をどうしていくのか、これを検討し、方向づけすることが喫緊の課題であります。高校には年度明け早々に、改善・改革を検討するチームをつくってもらいます。高校の検討状況を睨みながら、学園の将来構想・計画づくりを検討する作業グループが追いかけていくイメージでしょうか。高校には今すぐできる改善は今年中に着手してもらい、高校の改革案は学園の将来構想・計画案と合わせて来年この時期までに練り上げ、年度末の評議員会・理事会にご報告いたします。

<前体制で改善・改革作業に着手>
幸い我が青陵学園は、この厳しい少子化の中でも短大・大学は定員をクリアしていますし、関―諫山体制の下で、改善・改革の動きも着手いただいています。学園総体のブランドを明確にする「学校法人新潟青陵学園ブランド戦略検討プロジェクトチーム」が今年度初めに発足。これまでに検討作業を重ね、近く報告書をいただく予定です。また、青陵高校の方では新年度から校長に就任いただく石井充先生を昨年春から高校顧問にお迎えし、昨夏には「新潟青陵高校将来構想に係る有識者会議」が設置されました。その中で改善・改革への視点を整理済みですし、青陵幼稚園についても新年度から新しい幼稚園長として太田伸男・新潟市立市之瀬幼稚園長に来ていただくことで諫山前常務理事からお手配いただいております。また、昨年4月、青陵大学学長にご就任いただいた木村哲夫先生には、これも前体制のご指示で「学園組織の改革・刷新」について検討を開始いただきました。木村学長からは昨秋、諫山先生の跡を受けて常務理事にも就いていただき、組織改革案の方向性を深めていただいています。

<かつてない人事の大幅交代>
お二人をなくした大きな喪失感とコロナ禍の中でも学園は歩みを止めず、前進を続けていただいています。木村常務理事を先頭にして、栗林克礼理事・事務局長や教職員幹部からは大変な状況の中で学園を支えていただくと共に、昨年12月の理事会では、菅原陽心先生を短大学長に、また、私を理事長に選任いただきました。菅原先生には3月1日から短大学長として活動いただいています。さらに、先ほど申し上げたように、この4月からは青陵高校長に石井充先生、青陵幼稚園に太田伸男園長からご就任いただきます。


<来年度は正念場の年>
これほど短期間で体制が一新されることは新潟青陵学園の長い歴史でも過去になかったと思います。この時期を「青陵改革」の絶好の機会と捉え、来年度は改善を実践し、改革方向を決定する1年としてまいります。また、理事長・学長らの意思疎通をさらに図るため今月から週1回、理事長、両学長、事務局長、事務局次長の5人からなる「情報連絡・共有」のミーティングを開催することとしました。新年度からは高校長、幼稚園長にも随時加わってもらいます。

どうか評議員の皆さまにおかれては、今日を含めてこれからの1年を厳しくも温かい目で見守り、叱咤激励を賜ることをお願い申し上げます。

冒頭の挨拶が大変長くなってしまいました。それも青陵学園がかつてない正念場を迎えているから、とご理解いただければ幸いです。ありがとうございました。

2022年3月25日
新潟青陵学園理事長 篠田 昭